サイトリニューアル時のSEO維持と向上のコツ
~失敗しないための準備と戦略~
企業や個人が運営するホームページにおいて、デザインや使い勝手の改善、機能追加、最新トレンドへの対応などを目的にサイトリニューアルを行うことは一般的です。しかし、リニューアルに伴ってよく起きる問題のひとつが「SEOの順位低下」です。
せっかく長年かけて築いた検索エンジンでの評価が、一瞬でリセットされてしまうリスクもあるため、慎重な対応が求められます。そこで本記事では、サイトリニューアル時にSEO評価を維持し、さらに向上させるための具体的な対策や戦略をご紹介します。
1. なぜサイトリニューアルでSEO順位が下がるのか?
まずは、なぜリニューアル時にSEO順位が下がってしまうのか、その主な原因を把握しておきましょう。
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URL構造の変更
ページのURLが変更されると、これまで蓄積された検索エンジンからの評価がリセットされることがあります。 -
ページの削除・統合
必要以上に多くのページを削除したり、内容の異なる複数ページを統合した結果、キーワードの最適性が損なわれる場合があります。 -
メタ情報や見出し構造の変更
titleタグやmeta description、見出し(h1~h3など)の内容が大きく変わると、検索エンジンがそのページの主旨を理解できず、順位が下落することもあります。 -
内部リンク構造の崩れ
リンク切れやリンクの貼り忘れなどにより、クロール効率が悪化し、インデックスされにくくなる可能性があります。 -
コンテンツの劣化
見た目を優先するあまり、情報量が減ったり、キーワードが不自然になるなど、コンテンツの質が下がることでSEOに悪影響を及ぼすことがあります。
2. リニューアル前に行うべきSEO対策
リニューアルを成功させる鍵は「事前準備」にあります。以下の対策を行うことで、SEO評価の損失を未然に防ぐことができます。
2-1. 現行サイトのSEO分析を実施する
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アクセス解析(Google Analytics)
どのページが多く閲覧されているか、どのキーワードで流入があるかを把握します。 -
検索パフォーマンス(Google Search Console)
検索クエリ、掲載順位、クリック率を確認し、評価の高いページを把握しておきましょう。 -
被リンクの確認
外部から多くリンクされているページは、可能な限りURLを維持するか、リダイレクト処理を行います。
2-2. URLの変更計画を立てる
URLを変更する場合は、新旧URLの対応表(リダイレクトマップ)を作成しておくことが重要です。これにより、後述するリダイレクト処理をスムーズに行うことができます。
2-3. コンテンツの棚卸しを行う
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重複コンテンツや価値の薄いページは統合や削除も検討しますが、重要なコンテンツはそのままか、質を高めて再掲載します。
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キーワードの最適性を意識しながら、新しいデザインとマッチさせて再構築しましょう。
3. リニューアル時のSEO実施ポイント
リニューアル作業において、具体的にどのようなSEO対策を講じるべきかを紹介します。
3-1. 301リダイレクトの設定
旧URLと新URLが異なる場合は、必ず301リダイレクトを設定しましょう。これは検索エンジンに「恒久的な移転」を伝える処理であり、旧URLのSEO評価を引き継ぐことができます。
注意点:
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すべての旧URLに対応するリダイレクト先を用意する
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トップページへの一括リダイレクトでは評価が引き継がれないため、ページごとの対応が必須
3-2. title・descriptionタグの最適化
リニューアル後も、ページごとに適切なtitleタグ・meta descriptionを設定しましょう。キーワードを盛り込みつつ、ユーザーにとって魅力的な文言を心がけます。
3-3. 見出し構造(h1~h3)の適切な設定
検索エンジンは見出しを重要な要素として認識しています。以下のルールを意識しましょう:
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ページごとにh1タグは1つ
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キーワードを自然に含める
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h2・h3は階層的に正しく使う
3-4. モバイル対応(レスポンシブデザイン)
Googleはモバイルファーストインデックスを導入しているため、スマートフォン表示を前提とした設計が必須です。表示崩れや読み込み速度にも注意を払いましょう。
3-5. ページ表示速度の最適化
表示速度が遅いとSEOにも悪影響を及ぼします。以下のような対策を行いましょう:
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画像の圧縮
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不要なJavaScript/CSSの削減
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キャッシュの活用
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サーバーのスペック見直し
4. リニューアル公開後に行うべきSEO対応
サイトを公開した後にも、いくつかの確認と対策が必要です。
4-1. Google Search Consoleで新サイトを確認
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サイトマップの再送信
新しい構造に合わせて作成したXMLサイトマップを再登録します。 -
インデックス状況の確認
重要なページが正しくインデックスされているか確認しましょう。 -
エラーのチェック
クロールエラーやリダイレクトの失敗がないか確認し、早急に修正します。
4-2. 旧ページからのアクセス確認
リダイレクトが正しく設定されているか、アクセスログやサーチコンソールで確認します。リダイレクト漏れがあれば即座に対応しましょう。
4-3. 順位とアクセス数のモニタリング
リニューアル後は一時的に順位が変動する可能性があります。焦らず1~3ヶ月程度は様子を見ながら、改善を重ねていくことが重要です。
5. SEO向上を目指す+αの施策
リニューアルを機に、以下のような取り組みを追加することで、さらなるSEO強化を狙えます。
5-1. ブログやコラムの設置
定期的な情報発信はSEO評価を高める上で非常に有効です。キーワードを意識した記事を継続的に発信しましょう。
5-2. 構造化データ(Schema.org)の導入
レビュー、FAQ、パンくずリストなどを構造化データでマークアップすることで、リッチリザルトとして表示される可能性が高まり、クリック率向上が見込めます。
5-3. SNSとの連携
SNSボタンの設置や、Twitter・Instagram等での発信により、サイトへの流入経路を多様化し、ブランド認知向上にもつながります。
まとめ
サイトリニューアルはSEOにとって「危機」でありながら、「チャンス」でもあります。正しい知識と段取り、細やかな対応を行うことで、評価を落とさず、むしろ検索順位を向上させることも可能です。
特に「URL管理」「コンテンツ品質」「内部構造の最適化」「公開後のフォローアップ」は、SEO対策の大きな柱です。これらを意識しながら、リニューアルという節目を成果につなげていきましょう。