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特定の人を差別・優遇する表現―求人原稿や募集要項を作成するにあたり、注意すべきこと(5)

特定の人を差別優遇する表現
求人原稿や募集要項には、書いてはいけないNG表記、注意点、ルールがあります。
これまでの記事で、

1. 求人NG表現の背景にある原則
2. 求人原稿に関連する法律
求人NG表現の例
(1)年齢差別表現(雇用対策法)
(2)性差別表現
について紹介してきました。

この記事では、(3)特定の人を差別・優遇する表現 についてご説明します。

(3)特定の人を差別・優遇する表現(労働基準法)

人種や居住地、身体的特徴や障害、性格など、特定の人を差別や優遇することは労働基準法により禁じられています。

NG表現(労働基準法)

①特定の人種・国籍を限定して採用対象または対象外とすること
× 外人
〇 外国人
× 国籍不問(不問であっても記載NG)

②特定の地域に居住していることを採用対象または対象外とすること
× 通勤1時間以内の方歓迎
× 〇〇県出身の方歓迎
× 就業先の近くにお住まいの方
× 1時間以内で通勤可能な方
〇 土地勘のある方歓迎

③心身の障害、病気、身体的特徴を想起する表現
× 色盲、色覚異常
〇 色覚異常
× ブラインドタッチ
〇 タッチタイピング

④性格や身体条件を限定して採用対象または対象外とすること
× 身長170cm以上優遇
× 真面目な人
〇 真面目に業務に取り組める人(性格ではなく能力に関することならOK)
× コミュニケーション能力が高い人
〇 コミュニケーションを取りながら接客が出来る人(性格ではなく能力に関することならOK)
× 明るい方
〇 明るく挨拶できる方(性格ではなく能力に関することならOK)
× 体力に自信のある方(その人の主観によって変わる曖昧な表記も均等な雇用の機会を損ねてしまうことにつながるためNG)
〇 1つ5㎏の荷物を運ぶ仕事です。(客観的に判断しやすい事実を記載)
× 容姿端麗な方
〇 身だしなみに気を配れる方

判断のポイント

この中でも④性格や身体条件を限定して採用対象または対象外とすること 
は判断に迷うという声をしばしば聞きます。
判断のためのポイントは、以下です。
1. その条件は、求職者が選べたことか?
→選べなかったことはNG
2. 条件を聞いて求職者が具体的にイメージでき、求職者が条件に合わせて具体的に行動できるかどうか?その行動を基に採用・不採用を客観的に判断することができるか?
→具体的にイメージできないもの、行動できないもの、採用・不採用の客観的な判断の根拠とできないものはNG

「身長170cm」という身体的特徴や「明るい方」という性格は、生まれつきのものに左右されることが多く、求職者が選ぶことができません。そのため、NGです。
「明るい方」と言われても何を持って「明るい」と判断するかは難しく、求職者によってイメージするものは様々で、明るくしようとしても元来の性格では難しいところも大きく、採用・不採用の客観的な根拠とすることができないため、NGです。一方「明るく挨拶をできる方」は、具体的にイメージして行動することができ、採用・不採用の根拠とすることができるため、OKです。

「体力に自信のある方」について、もちろん、業務によっては体力が必要なこともあります。
そのような場合こそ、「体力に自信がある方」というその人の主観によってそれぞれになるものではなく「1つ5㎏の荷物を運ぶ仕事です」という客観的な事実の記載が必要ですし、適性検査や試用期間などで適性を確認するのが本筋です。

フェアな求人募集を

求職活動はフェアであることが大前提です。
人種や居住地、身体的特徴や障害、性格など、求職者本人が選べない事情により差別されることがないように、同じ条件で競い合うことのできるように、これらのルールは定められています。
過去の記事で紹介した、年齢や性別も、同じように本人が選べない事情です。
これらを遵守するためにエネルギーを割くことができるかというのは、企業がフェアであるかということを問われているというもいえるでしょう。

(ライターK.M)

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