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年齢差別表現―求人原稿や募集要項を作成するにあたり、注意すべきこと(3)

求人原稿や募集要項を作成するにあたり、注意すべきこと(3)
求人原稿や募集要項には、書いてはいけないNG表記、注意点、ルールがあります。
これまでの記事で、

1. 求人NG表現の背景にある原則
2. 求人原稿に関連する法律
について紹介してきました。

この記事では、実際の
求人NG表現の例のうち、(1)年齢差別表現(雇用対策法)についてご説明します。

(1)年齢差別表現(雇用対策法)

雇用対策法では、年齢にとらわれない、人物本位、能力本位の募集・採用が行われるように、年齢制限の禁止が定められています。
労働者の募集・採用にあたって、年齢制限を設けることはできません。

NG表現(求人広告における、年齢差別)

具体的なNG表現には、以下のようなものがあります。

①年齢の上限を設けている
✕ 35歳まで

②年齢の下限を設けている
✕ 18歳以上

③年齢の範囲を設けている
✕ 18歳~50歳

新卒採用において年齢の上限を設けている(浪人、留年、進路変更などにより卒業時の年齢が高い者も新卒として同等の権利を持つため)
✕ 大学(高校)卒業以内3年以内で25歳まで
〇 大学(高校)卒業以内3年以内の方
〇 XXXX年3月以前に大学卒業見込みの方

⑤特定の年齢層を「歓迎」としている
✕ 20代歓迎

⑥年齢不問と書きつつ年齢を制限する文章を併記している
✕ 年齢不問。35歳未満歓迎。
✕ 年齢不問。ただし35歳未満の方歓迎。

年齢によって条件を変えている
✕ 年齢不問。35歳未満であれば職務経験不問、35歳以上は経験必須。

例外事由

厚生労働省令で定められた以下の6つの事由については、年齢制限が認められています。
▼例外事由1:定年年齢を上限として、上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
〇 65歳まで(定年65歳のため)

▼例外事由2:労働基準法その他の法令の規定により年齢制限が設けられている場合
〇 18歳以上(労働基準法第62条の危険有害業務)←( )内の記載が必須
〇 18歳以上(警備業法第14条の警備業務)←( )内の記載が必須

▼例外事由3:長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
〇 35歳以下(例外事由3号イ:長期キャリア形成を図るため)←( )内の記載が必須

★例外と認められないパターン
期間の定めのある(=有期)労働契約である場合
✕ 30歳未満(契約期間1年。更新あり)
職務経験を付している場合
✕ 40歳未満(ファイナンシャルプランナー1級保持者)
下限年齢を付している場合
✕ 18歳以上35歳未満

▼例外事由4:技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、 期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合

▼例外事由5:芸術・芸能の分野における表現の真実性などの要請がある場合

▼例外事由6:60歳以上の高年齢者または特定の年齢層の雇用を促進する施策(国の施策を活用しようとする場合に限る)の対象となる者に限定して募集・採用する場合

参考:雇用対策法/電子政府の総合窓口

それでも特定のターゲット層にアプローチしたい…そんな時は

業務内容と必要な能力を明示することで、求める人材を募集することができます。

例:ハードな重労働。高齢者には到底無理!40歳以下で募集したい。
〇長距離トラックを運転して、札幌から大阪までを定期的に往復。資材(50kg程度)を上げ下ろしする業務であるため、持久力と筋力のある方を求めます。

例:社長が40代、その他のスタッフも30代以下。業務上指導しづらいし、中高年齢者は浮いてしまう!
〇40代の社長が1年前に創設したベンチャー企業。総務部門において、担当者(30代)の指導のもと一般事務を担当。主な仕事は、パソコン(ワード・エクセル)を用いた、社内文書の管理、作成、事務用品の管理です。

また、そのターゲット層が魅力に感じてくれる情報を掲載することも効果的です。
〇若手層中心の会社!平均年齢は28.7歳です。
〇社長は30代!若い組織を一緒に作っていきませんか?
〇年功序列はナシ。実績を評価し、昇格・昇給を決めています。
自社の特徴をもう一度洗い出し、ターゲット層が魅力的に感じるものがないかを考えてみましょう。

参考:その募集・採用年齢にこだわっていませんか?(厚生労働省)

雇用対策法の原則は、年齢制限禁止です。
例外的に認められるものもありますが、それはあくまで例外であり、年齢にとらわれない、人物本位、能力本位の募集・採用が行われることが望ましいということが、雇用対策法の原則です。
これに違反した募集要項を掲載していると、法律違反なのはもちろんのこと、社会的な信用も低下してしまいますので、注意されてください。

次回、実際の求人NG表現の例のうち、性差別表現(男女雇用機会均等法)についてご紹介します。

(ライターK.M)

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