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仕事に役立つ心理学

読み手の立場に立つ―わかりやすい・効率的な・相手に負担を書けない文章表現(4)

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「相手の立場に立って考えなさい」と小さな頃から何度も言われてきたという方が多くいらっしゃることでしょう。
「読み手の立場に立つ」というのは、当然できて当たり前のように思われがちですが、実はとても難しいことです。

1. 読み手が「どこまでわかっているか」「何を知っているか・知らないか」を考える

書き手は、読み手がどんな人で、この文章の内容について「どこまでわかっているか」「何を知っているか・知らないか」を考えておく必要があります。
書き手である自分は、文章に書くことについて全体の枠組みからその詳細な中身まで、全て知っています。
つまり、十分なメンタルモデルを構築できています。
したがって、文章や言葉が多少不十分でも、書き手(自分)はわかってしまいます。
しかし、読み手はそうではありません。
「専門家の話がわかりにくい」「違う世代の人の話についていけない」などは、この最たる例でしょう。

業務においても、「違う職種の人の説明がわからない」「精一杯書いているつもりなのにわかりにくいと言われる」という状態になる時は、ほとんどがこの相手が「どこまでわかっているか」「何を知っているか・知らないか」を考慮できなかったために起こります。

2. 職場でのコミュニケーションエラー事例

こんなことがありました。
とある会社が、WEB制作で、A、B、C、Dという4つの業務のうち、ホームページに3業種紹介するか、4業種紹介するか悩んでいました。
ホームページにどの業務を掲載するかをコーディネーターがお客様と打ち合わせを行った結果、「D業に一本化することになりました!」と連絡がありました。
連絡を受けたライターは、紹介する業務を1つに絞ったのだと理解して原稿を作成しました。
完成した原稿を見てコーディネーターが「あれ?なぜDだけ?」と。
話を聞いてみると、コーディネーターとお客様と打ち合わせている中で、早いうちにお客様がAとBは確定と決め、CとDのどちらにしようかと検討していたのだそうです。
検討の結果、「CとDを一本化して掲載」という判断に至り、コーディネーターは、「AとBは確定」という部分を省略して「CとDを一本化」という最後の部分だけをライターに伝えていたのでした。
コーディネーターとお客様との間で「AとBは確定」という状態が長く続いたため、一緒に話を進めているライターもそれを知っているはずだと、コーディネーターはいつの間にか思い込んでいたのです。

3. 自分が知っていることのほとんどを、読み手は知らないという前提で書こう

私たちは、知らず知らずのうちに、自分が知っていることは当然読み手(相手)も知っているはずだと思い込んでしまいます。
しかし実際は、自分が知っていることのほとんどを、読み手は知りません。
自分が知っていることを読み手が知っているという共有状態がとても珍しいと言っても過言ではありません。
読み手が「どこまでわかっているか」「何を知っているか・知らないか」を考え、読み手が読んでいる時にどんなメンタルモデルを構築しているだろうかということを考えながら、読み手が適切なメンタルモデルを構築できるように書くことが必要です。

(ライター K.M)

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