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仕事に役立つ心理学

読み手の「理解」の過程を考慮する。―わかりやすい・効率的な・相手に負担を書けない文章表現(1)

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わかりやすい文章を作成することは、仕事の様々な場面で必要です。
ではどのようにすればわかりやすくなるのか?を心理学の理論から解説します。
そのために、そもそも人が文章を理解する過程とはどのようなものなのかを知ると、うまい工夫をすることができます。
ちょっと専門用語も出てきますが、何となくの理解で大丈夫ですので、文章を読んで「わかりにくいなあ」と感じた経験を思い出しながら読み進めてください。

1. 人が文章を目にしたときにどう反応するか

人は、文章を目にしたとき、いったい何の話(何について、何が言いたいのか、何を目的としているのか)なのかを、自分なりに枠組み(メンタルモデル)を作って理解しようとします。
人間はそもそも「わかりたい」と思っています。
そのため、わからないときには、「おそらくこういうことだろう」と話の筋道やストーリー(何について、何が言いたいのか、何を目的としているのか)を勝手に作ってしまいます(これを「メンタルモデル」と言います)。
そして、読み手はこの「おそらくこういうことだろう」という枠組み(メンタルモデル)の中で理解しようとします。

2. 不適切なメンタルモデルが構築されると理解できない

この「おそらくこういうことだろう」という枠組み(メンタルモデル)が、書き手の意図した方向(言いたいこと)と一致していれば、つまり正解であれば、「なるほどこういうことね」と理解することができます。
しかし、読み手の作ったメンタルモデル(こういうことだろう)が書き手の意図した方向(言いたいこと)と一致していないと、つまり読み手が誤ったメンタルモデルを作ってしまうと、「こういうことだと思っていたのに、あれ?あれ?何が言いたいの?わからない」となってしまい、理解できません。
つまり、文章を目にしたときに不適切なメンタルモデルが構築されると、読み手は文章の内容を理解できません。
そこで必要なのが、読み手が適切なメンタルモデルを構築できるよう、理解するための枠組みを提供することです。

3. まとめるためには枠組みが必要

ここでちょっとたとえ話です。
海にボールをまとめて浮かべたいとします。
何も準備せずボールを海に投げると、ボールは海の上を漂ってバラバラになり、まとまりません。
後でまとめようとしても、遠くに流れていったボールは収まらなくなってしまいます。
ボールをまとめるためには、まず輪のようなものを投げて、その中にボールを投げ入れるようにする必要があります。
そうすると、きちんとまとまります。

人間の頭の中も同じです。
ただ言葉(文章)が次々に頭の海の中に投げ入れられると、何も理解できません。
枠組みがないと、伝達された言葉(文章)散らばってしまい、忘却されてしまいます。
頭の海に最初に枠組みを与えてあげると、それぞれの言葉(文章)がうまくその枠組みに収まって、効率的に理解しやすくなります。

4. メンタルモデルと理解

人が文章を理解する過程について、心理学のメンタルモデルという言葉を使って説明しました。
繰り返しになりますが、このパートは、何となくこういうことかな~くらいで大丈夫です。
続く記事で、文章をわかりやすくするためにはどうしたらよいか、心理学の理論を活用した工夫について解説します。

(ライター K.M)

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